2005年5月22日

出版総売上復調 7年振り

 2004年の出版界の総売上が前年比1.3%増と、1997年以来続いていた前年割れから復調したようです。(『出版年鑑2005』の速報版としての「出版ニュース」2005年5月中下旬合併号記事「日本の出版統計」より)

 復調とは言え、書籍が5.9%増、雑誌が2%減と雑誌は下げ止まっていないことや、書籍も返品率が98年の40%から漸減して2004年でやっと37.3%になっているものの未だに高すぎる値であること、そして出版点数の増加と平均単価の下落からは既に指摘されている「金融策としての自転車操業的な出版」が相変わらず続いていることが推測されることなど、まだまだ不安要素が大きいように思われます。

 このメッセージを用意しながら、末廣恒夫さんのCopy & Copyright Diaryをチェックすると、この出版点数の問題をとりあげておられましたね(5月20日「7万点は多すぎるか、多すぎないか」)。そこで末廣さんがとりあげておられるような「出せる自由」(ポット出版の沢辺さんのご意見)はたしかに大事ですが、とても「戦線が伸びきった」状態とでも言いますか決して余力のある出版点数の多さではないように老生には見えますので、まだまだ心配が残りますが、それでもとりあえず売上復調は歓迎すべきところです。

 公共図書館によるいわゆる「複本問題」については、日本書籍出版協会と日本図書館協会による協同調査「公立図書館貸出実態調査 2003」(報告書[PDFファイル])によって、<公共図書館が貸出重視・予約重視によって、ベストセラーばかり、何百冊もの複本を購入して売上を疎外している一方で、専門書の図書館での購入がないがしろにされている>という仮説が否定されているはずなのですが、この報告書で「図書館提供率」という統計処理的には無意味な係数が考案されそれが新聞記事の見出しに踊るなど、報告の内容が逆の印象でとらえられている傾向もあります。

 思い込みではなく、実態に即した認識を基にして、「図書館のため」でも、「出版界のため」でもなく、「読者のため」に「なに」を「どこまで」「どうする」のがいいのかという建設的な論議が出来て行ければよいですね。

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