熊取町立の損害賠償請求訴訟
今日オンライン版が届いたニューズレター「図書館の自由」第57号(2007年8月)に
●熊取町立熊取図書館における損害賠償請求訴訟について
との記事が。
(このニューズレターの目次だけは以下から参照可)
http://www.jla.or.jp/jiyu/newsletter.html
事案としては、
熊取町立熊取図書館が除籍処分した図書が適正かどうか調べるために、 情報公開請求で入手した除籍図書リストをもとに「よやくカード」で他館からの取り寄せを依頼した男性が、 制度の利用を拒否され精神的苦痛を受けたとして10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地方裁判所は 「拒否に正当な理由は認められない」として町に5万円の賠償を命じた(平成17年(ワ) 第10224号損害賠償請求事件 平成19年6月8日判決言渡)。 <上記記事より>
というもので、極めてまっとうな判決。
何ともコメントしづらいのは、「図書館の自由」の原則から言ってなんとも「筋の悪い」事案になぜ図書館側がのってしまったのか、という点。
背景については、同じ関西のことなのでいろいろ仄聞はしているわけで、曰く原告は図書館だけではなく行政全体に対して情報公開要求・ 住民監査請求・訴訟を連発している人、曰く図書館が重点目標になっている、曰く今春の前館長の定年退職の後、 後任館長にとの内示を受けた人が図書館長としてこの原告と向き合うのがいやさに3月31日付けで急遽退職した、 曰くその後任となった図書館長も4月10日付けで退職した、曰く原告氏はこの春の町議選挙にも出馬したが2桁の得票数で落選(供託金没収) 云々。
熊取町全体として対峙する関係にあることは、ある町議員のHPに掲載されている下記文書を見ても明らかなのだが
(それにしてもこんな文書をHPで公開するか? ん~、偽文書だろうか(^_^; いやいや、
そうじゃないことは別ルートで確認してますけどね(-_-;)
図書館における損害賠償請求訴訟にかかる控訴について
http://www.rinku.zaq.ne.jp/egawa/070613zenkyou.htm
ここに掲げられている「控訴の理由」の3点目(下記)は、「図書館の自由」だけではなく「図書館の論理/存在理由」
を否定してしまっている。
3、 全国の公立図書館は、 自治体ごとに独立した図書館に所蔵していない図書についても、相互貸借を行い、すべての申込に応じることが義務であるならば、 全国の公立図書館に影響を及ぼす重大な問題であり、図書館本来の特性を考えると非常に認めがたい判決であるため、控訴を求めるものである。
老生は「全国の公立図書館は、自治体ごとに独立した図書館に所蔵していない図書についても、相互貸借を行い、 すべての申込に応じることが義務である」と思っていますよ。もちろん事務量の問題として、 法外な件数については一定制限せざるをえないことはありうるとは思いますけどね。ただ、少なくとも、「申込みに応じる義務がある」 のは原則ではあるわけで。。。熊取町がこういう法廷戦略で臨んで勝てるとは思えないし、勝ってもらっても困ります。 法廷戦略としても稚拙だとしか思えないわけで、裁判ってのは、訴えられた事案そのものとして裁くんであって、 「このケースはひどいクレーマーさんだからこれは断ってもいいでしょう」という論理はたてられないですよねぇ。 なんだか行政と議会の意地に図書館が巻き込まれてしまった志の低い事例になっているように思えます。
熊取ほどの図書館がこういう筋の悪い事案の当事者になってしまっているのが不思議だし、残念極まりないところ。 一体どうしたんだろう?
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