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2005年9月19日

著者寄贈(^_^;

 ここへの書き込みをさぼっている間に、絵本の著者寄贈がありました。著者が直接来館しての寄贈です。なんでもそれが初めての出版とのことで、とても愛おしげに本を差し出されてました。

 著作権者・出版社サイドから「図書館問題」(つまり、「図書館がただで大量に本を貸すから本が売れない」)という主張が出たときに戸惑わざるをえなかったのは、客観的・統計的ににそうはなっていないだろうという認識があったこともありますが(その認識が正しいことは後に広いサンプルを使った調査*で明らかになりましたが)、それよりも、以前から著者・出版社サイドからの寄贈のお申し出というのを、老生もしばしば体験していましたし、知り合いの図書館員からの伝聞でもそうだったからです。今回のような無名の著者やもともと本の売り上げには期待していないような類の出版物ならまだわかりますが、基本的に商業ベースの出版物についてもそういうお申し出がそこそこあることを体験したり伝聞したりしていましたので、愛おしげに図書館に自著や自社の出版物を寄贈する「あの人達」と「図書館問題が問題だ」と叫ぶ「この人達」の違いにしばし戸惑うことになったわけです。著者と言い、出版社と言い、ほんとに「人生いろいろ」でございます、はい。

* 公立図書館貸出実態調査 2003 報告書(PDFファイル)
  ↑ 大きなファイル(1.15M)です。ご注意ください。

 もちろん「ほのぼの」咄だけではないわけでして、出版後数年を経た本を大量に寄贈申し出される例とかも仄聞しています。つまり自費出版か「○部買取」という契約で出版された本の「著者在庫一掃処分市」みたいなものです。分館も含めた図書館の数がいくつあるかを電話でまず聞いて「×3部寄贈したい」と言われたという話も聞いたことがあります。こうなると、あとで「図書館問題」だの「複本問題」だのと言われても笑っておくほかないのです。(嘲笑うわけではないですが、とりあえず笑ってやりすごすよりないのです。やれやれ。)

 あと、新興宗教がらみで教団の布教活動としての教祖様の本の大量寄贈申し出とかもありますね。もっともこれは、実際には教団が直接寄贈するのではなくて信者さんを通じて申し出があるので、結局は教団の信者さんへの販売活動なのかもしれませんが。

 というふうに、「著者寄贈」のもろもろを綴っていたら、doraさんとこで関連話題が出ていましたので、別投稿に移ります。

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おかえり。

 「おかえり。」というのは、明日からの奈良国立博物館での「遣唐使と唐の美術」展のチラシのコピー。水平線の上の雲にかすんだ水色の空に今回展示の文物が横一列に並んだ上に縦書きでシンプルに「おかえり。」

 遣唐使の持ち帰った文物なら「いらっしゃい。」なのではないかと思ってよく見ると、今回の展示のメインは「井真成(せいしんせい/いのまなり)」の墓誌。この名前の読み方もわからない人物の墓誌が昨年秋西安で見つかったらしい(老生寡聞にして知らず)。墓誌によるとこの人は遣唐使で唐に渡った日本人とあるが、日本側の文献ではその名前に該当する人物が見あたらないとのこと。そこで、アイデンティティ不明のままではあるが、とにかく「おかえり。」

 判明している事実関係の概要は、「遣唐使 井真成墓誌概要」とか「読み解く『井真成』の謎」とかを参照して確認しましたが、なんだか凄いですね。

 会期が短いんだけれど、行けるかな。この墓誌の現物は一度見たいですね。

 帰れなくなった中国への使者のお話しということでは、南條範夫さんの『燈台鬼』を思い出します(と言いつつ、たしか遣唐使だったいう以外、細かい筋立ては完全に忘れていますね、あれま。)最近では『武士(ムサ)』という韓国映画がありました。これは高麗から明への使者が、なんだかわけのわからない流れで母国に帰れなくなってしまったお話。明のお姫様を演じた章子怡(チャン・ツイイー)はいつものパターンを演じさせられてましたが、安聖基(アン・ソンギ)がいい味だしてました。これも史実を踏まえてはいるんだろうけれど、どこからどこまでが史実なんだろうなぁと思いながら見ていましたが、ラスト・シーン、たった一人で船を漕ぎ出していった安聖基は結局母国へは帰れなかったんでしょうね。いと哀れ。

 墓誌になってでもとにかく帰って来れて、井真成君はまだ幸せか。
 ほんまに、ようおかえり。

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