やじろべえ
大阪朝日の一面に出ていた記事です → 「公立図書館、名簿類公開制限の動き 個人情報保護に配慮」(2005年06月10日)
JR事故で病院での入院患者の氏名公表にばらつきがあったとか、某高校での生徒同士の喧嘩にかかわって、学校側が当事者の一方から請求された相手の生徒のフルネームや住所の公開を拒否したとかいった事件(?)等の延長で取材が企画されたのでしょうか。
記事では、図書館(地方自治体)では個人情報保護法ではなく、各自治体で定める個人情報保護条例に基づいて対処することになることを紹介し、
図書館の図書類については…適用外とする例が多い。
とした上で、
福井県や愛知県には図書館の除外規定はない。愛知県は「図書館の資料はもともと公開が目的で、条例の対象とは言い難い」との解釈だが、福井県は「個人情報の公開は図書館の目的とは言えず、名簿によっては条例違反」とみる。
と対応のばらつきを紹介し、
自治体によって判断が分かれ、線引きが難しい中、法施行が各図書館の「規制ムード」を招いている面もありそうだ。
全国2662施設が加盟する日本図書館協会の松岡要事務局長は「公開の制限は検閲に等しく、図書館の自殺行為にならないかを考えてほしい」と話している。
と警告を発しています。
「図書館の資料はもともと公開が目的で、条例の対象とは言い難い」と「個人情報の公開は図書館の目的とは言えず、名簿によっては条例違反」って、「個人情報」「名簿」を「差別図書(差別語)」に置き換えれば、同じようなパターンを繰り返してきている事柄なのだなという気持ちになってきます。
「鈍感」であってはならないけれども、「過敏」であるのも困りものです。バランスが大事ということでは、やじろべえみたいなものでしょうか。
JLA(日本図書館協会)のメールマガジン(4月20日付)が「個人情報保護法と図書館資料の扱い」という記事でこの問題にふれ、内閣府個人情報保護推進室に照会した回答要旨として以下のように紹介していましたね。
[個人情報保護]法の対象は、民間団体が収集保存している個人情報であって、図書館などが 所蔵し提供している資料は対象とならない。図書館が個人情報を含む資料を 利用者に提供することは、書店が本を販売すること同じ行為であり、一般的 にそのこと自体、この法律は直接対象としない。その資料に問題があるとす れば、それを出版した者がまず問われることになる。一部新聞記事に、図書館が問題のある名簿を提供することが処罰の対象となるような記事があったが、これら前提条件を欠いたものである。
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